私の友人である「キャリー」は3人の子どもを持つ母親で、そのうち1人は特別な支援や配慮が必要な状態です。その彼女から先日、「家族の状況に配慮した勤務時間に変更したいと勤務先に希望を出したところ、学歴を理由に却下された」との話を聞きました。一般的には理解できる却下理由のようですが、実は彼女と同じ学歴の他のスタッフたちは、彼女が希望したまさにその勤務シフトで働いていたのです。そのスタッフ達には小さい子供がいなかったことに対し、キャリーは子どもの健康問題への対応のため、より多くの休暇を希望していた点だけが両者の違いでした。
変わらない「女性に不公平」な職場
しかしキャリーのケースは特別ではありません。妊娠しているか、子育て中であるかといった状況による差別は多くの地域で違法とされていますが、企業の経営者や人事担当者は、女性に退職を迫る策を常に模索しようとしています。アメリカ自由人権協会(ACLU)によると、このような差別は、母乳を与えるための時間を認めないなど、企業側による職場環境や働き方の改善拒否とも受け取れるとのことです。企業の中には、子どもが生まれた後の社員全員にフルタイム勤務を求めたり、低賃金のポジションに異動させるといったところもあります。
深刻な「母親ペナルティ」
最近、「母親ペナルティ(motherhood penalty)」という言葉をよく耳にします。アメリカの職場は未だに、男性が稼ぎ手、女性が家庭を支えるという時代遅れの家族像をもとに運営されることが多く、これが異性同士のカップル間では大きな収入格差に繋がっています。採用担当者には、働く母親を軽視する傾向があり、女性の応募者に対して家族計画について差別的で法に触れるような質問をすることさえあります。仮に採用された場合でも、小さい子供がいる女性には、他の女性よりも低い給与が提示されることが一般的です。一方で、父親である男性はこのペナルティをほとんど受けません。むしろ、父親になると給与が上がる傾向があるという調査結果があります。家族の形や在り方が変化しても、職場での女性の受け入れは進んでいないのが実情です。
Women experience a 'motherhood penalty.' For dads, there’s a wage 'bonus' https://t.co/TQiD3UJ8J4
— CNBC (@CNBC) March 26, 2024
アメリカのRes-Care/Equusという雇用支援・職業訓練プログラムを提供する企業が、平等雇用機会委員会(EEOC)の差別訴訟で12万5,000ドルを支払うよう命じられたケースが、最近のニュースで注目を集めました。これはニューメキシコ州にあるRes-Care/Equusの施設で、ハイリスク妊娠の女性従業員が勤務時間に診察に行かせてほしいとの希望を出したことに始まります。同社はそれを理由に解雇を言い渡し、それが連邦法違反との判決となりました。働く母親が仕事を選ぶ際、妊娠中のケアや育児が十分行える企業かどうかが大きな鍵を握ります。それらが難しいと判断した時、彼女たちは働くことを完全に諦めるか、より良い育児支援が得られる別の企業に転職していきます。
ワーキングマザーの積極的登用を
企業もまた、「ペナルティ」を受ける可能性があります。アメリカに本拠を置くデジタルヘルスケア企業Mavenの報告書「Back-to-Work」によれば、退職した女性従業員の補充、産後の女性に対する保険の企業負担分、産後の女性へのメンタル面でのケア、さらには潜在的な訴訟の解決などにかかる費用が合計で数十億ドルにのぼる可能性があるとのことです。これは単に産休を延長することで解決できる問題ではありません。従来の産休プログラムは、主に企業や子どもの健康に焦点が当てられてきましたが、今後は母親へのサポートを一層充実させることが必要です。
上述のMaven社は、産後の健康状態を悪化させないために行う各種検査、育児離職をなくすためのチャイルドケアプログラム、初めて母親になった従業員への職場復帰サポートを提案しています。女性や働く母親の割合が増加している今、企業は彼女たちの才能を軽視することなく、積極的に採用し活用する時が来ていることをしっかりと認識すべき時に来ているのです。
(こちらは英語による執筆記事の日本語訳です。是非、オリジナル英語版もご覧ください。)

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