ヴィーガンは欧米気取り|菜食主義が直面する肉食文化の壁

食は、昔からいつも人々の中心にありました。生きる糧としてはもちろん、文化や伝統の象徴でもあります。しかし、その食べ物が原因で肩身の狭い思いをする人たちもいます。アフリカでは、肉を使った料理は豊かさやおもてなしの象徴として深く根付いており、結婚式、葬儀などの儀式や、親戚の集まりといった席では、家族やコミュニティの絆を確認する重要な役割を果たしています。一方、ベジタリアン(菜食主義者)や、ライフスタイルとして動物性食品や製品を避けるヴィーガンの人たちは、一切肉を口にしません。そのため、彼らのこの食の選択が、アフリカでは「おもてなしの気持ちも、自分たちの伝統もないがしろにされた」と、間違って解釈されてしまうことがあります。肉を食べないという選択は、時として一般の人々との間に摩擦を生みます。

野菜大国でヴィーガンが異質とされる理由

アフリカの中でも、ジンバブエは肉の値段が高く、食事は野菜中心という人が63%にのぼります。それにもかかわらず、ベジタリアンやヴィーガンという概念はまだほとんど知られていません。ジンバブエの他にも、アフリカの一部地域では、肉を一切食べないということに馴染みがなく、欧米的なライフスタイルと見られることもあります。それにより周囲からの誤解や批判を招いたり、ヴィーガン食材の入手のしにくさや価格の高さといった、食をめぐる課題にもつながります。 

私の友人のティノは、海外での生活がきっかけでベジタリアンへと変わっていきました。元々、彼女のパートナーがベジタリアンであり、日常生活を彼と過ごすなかで、肉を使わない実際の食事やその意味を理解できたことが大きく影響したといいます。その後、サステナビリティの必要性やカーボンフットプリント(自分の行動が環境に与える二酸化炭素の排出量)の削減といった環境への負荷を減らすことへの関心が高まるにつれ、食の選択も自然に変化していきました。そして数年前、ヴィーガンのライフスタイルを徹底して取り入れ始めました。ティノにとって、ヴィーガンは食を制限するものではなく、自分の価値観や信念に基づき、何を食べ、何を食べないかを意識的に選ぶことを意味するものです。 

ヴィーガン、ベジタリアンを実践している人口の割合を国別で示すグラフ

ヴィーガン・ベジタリアンの各国割合
Credit: Elise Hankins and Chris Bryant via The Vegan Society

母国で感じた食の疎外感

ティノはジンバブエに帰国後、日常生活において、肉を使う料理がいかに深く根づいているかを強く意識することとなりました。両親はティノがヴィーガンであることに理解を示してくれましたが、多くの人は彼女の選択に疑問を呈し、ヴィーガン食は栄養バランスが悪いといった誤った情報をぶつけてくる人も少なくありません。また、植物由来の食品を専門的に扱うレストランや食料品店は少なく、ジンバブエでヴィーガンの食生活を続けるには、食材の調達から食事の準備まで、海外にいた頃よりも格段に手間がかかりました。 

食は、人々を排除するものではなく、つなぐものです。もちろん、誰もがヴィーガンになるべきだと言うつもりはありませんし、誰もがなれるとも限りません。しかし、食の多様性を受け入れることなら誰にでもできるはずです。ジンバブエを代表するヴィーガンシェフ、ニコラ・カゴロのように、ヴィーガンが暮らしやすい環境づくりに取り組む人もいます。彼女は、アフリカの植物性食材を使って、見た目も味も従来の肉料理と変わらない料理を生み出しています。こうした取り組みで地域の食文化を尊重しながら、肉なしでは料理が成り立たないという固定観念を変えようとしています。 


表面的な配慮にとどまる食の多様性

ヴィーガンをはじめとする食の多様性への関心は、都市部を中心に徐々に高まりつつあるものの、その歩みはまだ緩やかです。食事の席で困った経験のない多数派の人々には、メニューに自分が食べられるものが一つもないことの辛さをあまり経験しないため、食への配慮がどれだけ重要か理解できないことがあります。そのため、ヴィーガン対応メニューや食材はまだあまり出回っておらず、入手するのも簡単ではありません。この状況を前に、自分の食の選択がまだまだ普及していないと感じる人も少なくありません。

毎日の食事という何気ない営みは、自分は一人ではなく、その場所に確かに受け入れられているという安堵感を与えてくれます。ジンバブエでは、ベジタリアンやヴィーガンに関する議論がまだ始まったばかりです。だからこそ、ティノやカゴロの経験や取り組みから、さまざまな食の選択を認めることが文化や多様性の受け入れに深くつながることを、私たちは学ぶ必要があるのです。異なる個性やライフスタイルへの認識が高まるだけでなく、当然のように受け入れられる社会をつくっていくこと。今のジンバブエには、まさにそれが求められています。誰かと一緒に過ごし、そこでお互い別のものを食べていても、食はいつも人々をつなぐものなのですから。

新鮮な果物、野菜、ディップ、オリーブが並ぶ色鮮やかなヴィーガンプレート

ゲストライター F. Makoniによる寄稿

(こちらは英語による執筆記事の日本語訳です。是非、オリジナル英語版もご覧ください。)


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