ミソジニーとSNS規制|若者の女性嫌悪を止める教育の役割

英語で女性蔑視や偏見を意味する「ミソジニー(Misogyny)」。実はこのミソジニーが最近、英国の若者の間でより深刻且つ一般的な問題になりつつあるようです。彼らの保護者、教師達は、この問題は自分らの力だけでは解決できないレベルに達していると判断し、教職員組合が政府に支援を求めました。具体的には、有害なネット情報に制限を設けることにより、様々な情報の影響を受けやすい年代の若者達を保護し、そういったコンテンツを目にしないようにする、というものです。

政府によるネット検閲の危険性

残念ながら私には、これが有益な効果をもたらすかは懐疑的です。少年たちの過激化を防ぐという目的自体は意味があると思いますが、政府によるインターネットの検閲は非常に危険な要素をはらんでいるためです。むしろこの方策は、女性差別の問題を解決する以前に、マイノリティや社会的弱者を傷つける可能性の方が高いと考えられるのです。子どもにとって何が適切かを判断する、その絶対的基準は何でしょうか。更にその基準は、大人達の生活や権利を制限するものではないと、どうして言い切れるでしょうか。

もし、検閲により有害なコンテンツを削除することだけが最終目標だとすると、それは明らかに非常に危険なことです。検閲に関わる一部の人の考え方によって、「有害」の基準が簡単に変えられてしまう可能性があるためです。設定基準によっては、特定の政治的見解や宗教、あるいはLGBTQコミュニティのようなマイノリティの人々自体が有害だと判断されるかもしれません。そういった一部の意見に基づいて検閲が運用されることで、「危険」と判断された人々にインターネットを使わせないと決めることすら出来てしまうのです。これは非常に不公平であり、差別の問題により深刻に拍車をかけるだけです。

FOSTA-SESTA法にみる規制問題

最近米国で可決されたFOSTA-SESTA法案により、こういった懸念が実際に現実となった例があります。性犯罪や女性の性的搾取に関連するとされたオンライン上のプラットフォームが、このFOSTA-SESTA法により規制を受け、次々と閉鎖に追い込まれました。しかしながら、このことは性犯罪や性的搾取といった問題解決に対し、全く効果がありませんでした。それどころか、売春等で生計を立てていた大半の女性セックスワーカー達は、インターネット経由での支払いを受けることが出来なくなり、より危険な方法で稼ぐ方法を選ばざるを得なくなったというのです。結果的にこの法律により、彼女達は自分達を守ることすらできなくなりました

社会プログラムの改善に解決策を探る

話を「現代の子供達・若者達」に戻すと、今起きている問題解決に向けて、若者達をとりまく社会的プログラムにより多くの支援・資金を投入することが必要なのではないでしょうか。1つの問題として、今の子供達は家に閉じこもり、スマホでネットを見ることばかりに時間を費やしている点があります。昔の子供達は外に出て、友達と自由に遊ぶことが許されていました。「サードスペース(家でも学校でもない第3の場所)」といった、彼らが自由に時間を過ごせる場所がたくさんあったのです。そのため、友達と街をぶらついたり、ショッピングモールに行ったり、公園で遊んだりすることが当たり前のように出来ました。

それはもはや、昔の話です。保護者の付き添い無しで公園や街をぶらぶらしている子供が見つかるとすぐに警察が駆けつけ、18歳未満の若者達は彼らだけではショッピングモールに行くことすら許されていません。このような状況は、果たして持続可能と言えるでしょうか。子供達がより優しく、共感できる人間になるためには、他の人々、特に自分とは異なる人々と過ごす機会が絶対的に必要です。家の中で、制限の掛かったインターネットを見るだけでは到底そのような経験は出来ないはずです。

(こちらは英語による執筆記事の日本語訳です。是非、オリジナル英語版もご覧ください。)


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