女性はゲームを楽しめない!オンラインハラスメントの実態と対策

デジタルの世界には多くの可能性が秘められていますが、一方で深刻な格差や差別も存在します。性別による賃金格差、昇給機会や採用機会等の格差などは誰もが知るところです。しかしながら現実には、もっと沢山の不平等が存在しています。実際、マイノリティと呼ばれる少数派の人達の利益に対する保護政策はほとんど取られておらず、現状のスピードにも追いついていません。

ゲーム人口の約半数は女性であるにもかかわらず、なんと75%もの女性が、何らかの形でネット上のハラスメント経験があるという報告があります。しかしこれは、実際に声が上げられた事案のみの数字です。ハラスメント被害を外部に通報したくないという女性も多いため、これは氷山の一角だと考えられます。性別を理由にしたネット上のハラスメントはゲーム以外の場所にももちろん存在します。「女性の参加によってこのネット世界での楽しみが半減する」という考えが根強いことも、女性がターゲットにされる理由の一つのようです。

メタバース上でのハラスメント

仮想現実などのメタバースにも、同様の問題があります。そのため女性やLGBTの人々の中には、わざと男性アバターを使用するケースも多々あります。また、自分が女性や性的マイノリティであるとネット上で知られることを恐れ、他のユーザーと交流するようなチャットルームには参加しないという人達も多いです。

ただ、こういった一時的な自衛策では根本解決には全く至りません。性的なコメントが送られてくる、あるグループから性別を理由に排除される、さらには男性達によって無視されるなどの卑劣な行為は単なる一例で、ネットの世界では横行しているのです。それにも関わらず、ネットハラスメントは現実世界での被害よりも軽視され、対応も非常に遅れがちです。SNS上のやりとりに1日平均3時間使うことはもはや珍しいことではなく、見知らぬ大人と子供がオンライン上で交流することも多くあります。ネット上の安全性を確保することが、喫緊の課題です。

グローバル組織の対応策

オンライン世界の安全性の問題は、なにも先進国だけの話ではありません。例えばアフリカでは現在ゲーム産業が急速に成長していて、ゲーム人口はまだ圧倒的に男性の方が多いのが現状です。しかしアフリカの人口は急増し、社会の変革も急速に進んでいます。そういった社会や環境の変化による諸問題も発生しつつあり、その動きは先進国の歴史を繰り返しているかのようです。今後、人口増加と共にネット利用者が更に急増するその前に、ユーザー保護の環境や対策を整備することが急務となってきています。

昨年、UNESCOは ”Guidelines for the Governance of Digital Platform” (デジタルプラットフォーム運用ガイドライン)を発表し、ユーザーの安全確保を目的とした指針を発表しました。この中でUNESCOは、インターネットを全ての人にとって安全な場所にすることの重要性を強調しています。またEUは、 ”Digital Services Safety Act” (デジタルサービス法)を制定し、大規模オンラインプラットフォームに対して厳しい監査や取り締まりを実施しています。そして ”Equality Now” や ”Women Leading AI” などの国際人権団体は ”AUDRi” といった組織を立ち上げ、こういった問題に積極的に取り組む姿勢を見せています。彼らの活動は、国や社会に「そこに確実にある虐待」をしっかりと認識させ、国際人権法に沿った解決策をとるように働きかけるものです。このように今、世界中でインターネット上の安全や人権を守る動きが活発化しています。

ネットハラスメントを助長させないためにも

ジンバブエの法律家で、女性の権利に精通するツィツィ・マテカイレ氏。彼女は”Equality Now”において性的搾取撲滅プログラムのグローバルリーダーとしても活躍していますが、Forbes Africa(フォーブス・アフリカ誌)とのインタビューで、「ネット・ハラスメントはいとも簡単に現実世界での危害にエスカレートする」と警告しています。彼女は、アフリカ政府がメタバース等オンラインプラットフォームの活用に乗り出した今だからこそ、女性の権利保護と技術分野におけるリスク軽減の重要性を訴えているのです。

現実社会であれネット社会であれ、ハラスメントは心身ともに重大な実害を与えるものです。技術革新の最先端を進む現代において、少数派の人々を疎外することなど何の意味もなく、当然許されない行為です。AUDRiのように、解決に向けて積極的に取り組む組織を支援することが、現代の私達には求められています。

(こちらは英語による執筆記事の日本語訳です。是非、オリジナル英語版もご覧ください。)


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