世界の気候変動により、女性たちはとても大きな影響を受けているにもかかわらず、その重要な議論や決定に余り関われていない状態が依然として続いています。2023年11月~12月にドバイで行われたCOP28では、参加した133人の各国代表のうち、女性はわずか15人でした。更に、世界の国々の気候変動計画には、農村部の女性や子どもたちについての言及がほとんどありません。こういったことから、世界の気候変動に関する平等の実現には、まだ時間が掛かることがわかります。
レジリエンスと適応能力
これからの気候変動対策においては、より多くの女性が指導的役割を果たすことが求められます。現在、女性へのこの分野での評価は不当に低い一方、実際にはその能力と役割は非常に重要です。いよいよ気候危機に世界が突入した時、家庭で家族を守り、地域社会を復興させる原動力は女性たちであると考えられます。食料、水、燃料などの資源を確保するのもおそらく女性です。彼女たちのレジリエンス(立ち直る力)と環境への適応力は、気候災害を乗り越える上で不可欠なのです。また、女性リーダーの性質や傾向として、気候変動対策に付き物の「厳しい政策」を前向きに受け止めるので、難しい課題を積極的に前進させてくれるはずです。
賃金格差と家事の問題
気候変動は誰にとっても脅威ですが、特に女性の未来を危険にさらします。COP28の報告によると、2050年までに1億5,800万人以上の女性と女児たちが気候変動によって貧困に陥り、2億3,200万人が干ばつや洪水によって食糧不安に直面すると予測されています。なぜ特に女性と女児たちに影響があるのでしょう?ここがまさに、既にある格差なのです。例えば、多くの開発途上国で問題になっている高温化や熱波による危機は、実はすべての世帯に同等の影響があるわけではありません。女性が家計を支えている世帯は、男性が主に稼ぐ世帯よりも収入が8%も低い実態があります。これは既に貧さの中にある地域社会にとって、年間370億ドルもの損失を意味します。こうした女性たちはまた、自分たちの土地や資源を直接的に有効利用する手段がないため、気候問題の解決に携わることが出来ず、状況を更に悪化させています。
男性と違い、女性の農民たちが思うように収入を得られない要因の一つに「家事」の存在もあります。女性たちはどうしても家事に多くの時間を費やさざるを得ず、その結果、生活費を稼ぐ時間と機会を逃す傾向にあるのです。これは現在の食農サイクルの中で農業を生活手段とする地方の女性、また低中所得家庭にとって非常に大きな問題です。
女性の主導権で期待される未来
しかし未来は悲観することばかりではありません。女性にもっと権限と活躍の場を与えることで、気候変動対策は確実に前進します。FAO(国連食糧農業機関)の報告によれば、気候変動対策に女性による「食糧不安軽減プログラム」を導入することで、社会全体の経済的利益を改善する可能性があるとのことです。それは、女性は大切な家族や地域社会の食糧を確保する能力に長け、そのことに熱心であるからです。実際ジンバブエで行われている試みでは、パーマカルチャー(永続可能な循環型の農業により人と自然がともに豊かになるような関係性を築く手法)や持続可能な農業プログラムを通じて、低所得層の食糧不安を軽減し、女性の農業従事者の活躍を模索し始めています。これにより、乾燥地や野生動物対策などの問題を軽減できるということです。
女性が食糧生産や栄養関連分野の知識をより広げることが出来れば、家庭での安定した食糧確保とより良い豊かな生活にも直結します。ひいてはそのことが、社会全体の生産性と経済成長に結びつくのです。情報、教育の格差を縮め、活躍の場を女性にも公平に提供し、気候変動問題における男女格差をなくすこと。それが課題解決への大きな一歩です。
(こちらは英語による執筆記事の日本語訳です。是非、オリジナル英語版もご覧ください。)

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