家庭から変えるジェンダーの常識|見直すべき役割分担意識

職場での真の公平性は、家庭における女性の役割が軽視される限り、実現することはできません。職場でのジェンダー問題では、いかに女性を登用していくかに焦点が当てられることが多いですが、家庭において脈々と続く「性別による役割分担」の問題にも同様に注目しなければいけません。真のジェンダー平等を実現するためには、職場と家庭の両方で、男女間の責任分担について考えることが大切です。

これまで長年にわたり、家族の世話は主に女性が担ってきました。時代は変わり、今は多くの女性が仕事を持ち、キャリアの階段を登るようになったにも関わらず、その習慣は未だに続いています。女性たちは依然として家庭や子育ての責任の大半を背負い、仕事上での好機も存分に活かせず、結果的に女性の貢献度や実力が過小評価されるという悪循環から抜け出せていないのです。

女性たちが抱える「二重の責任」

女性たちにこの二重の責任がのしかかり、キャリア形成に深刻な影響がでる一方で、彼女たちの家庭での献身的な仕事は当然のものとみなされ感謝すらされないことがほとんどです。結局多くの女性はキャリアを犠牲にせざるを得ず、パートタイムや低賃金の仕事しか選べないことや、家庭のために退職を余儀なくされることさえあります。ニュージーランドの元首相ジャシンダ・アーダーン氏のように、要職を任されながらも辞職を選択するケースもあり、仕事と家庭との板挟みになることで心身に相当なプレッシャーが掛かることが分かります。

女性は家事全般を担うことが多くその分の時間も拘束されるため、企業側からすると存分に働ける従業員とは見られにくい傾向があります。そしてそこには、女性が仕事に没頭しすぎるともっと家庭的であるべきといわれ、逆に家庭重視の働き方では仕事を任せられないといわれる、まさに女性への「ダブルスタンダード」が存在します。男性のように、仕事に焦点を当てた一定基準での評価を受けにくいのです。この「ダブルスタンダード」により、女性は社会的にも居場所をなくし、職場復帰も難しくなり、ジェンダー格差はさらに悪化することとなります。さらに、家事は女性がやるものだという社会通念により、彼女たちのキャリアは選択肢が非常に狭くなり、看護関係や教職など「性別による固定観念や偏りがある職業」を選ぶ流れになってしまいます。技術職や管理職に興味があっても、挑戦すら難しくなってしまう現実。この負のサイクルによって、女性の特質が活かせるのは結局は家事や家族の世話だという画一的なイメージが、より強固なものとなっていきます。

責任を分け合うことでもたらされる波及効果

この負のサイクルを変えるには、男性が家庭でのあらゆることに積極的に関わることが必要です。女性たちは職場でも家庭でも非常に疲れ切っており、その結果、バーンアウト(燃え尽き症候群)の症状や大きなストレスを抱えています。ところが男性が家庭の仕事を女性と平等に分担することで、まずは性別による役割の固定観念が変わりはじめます。「Good Guys」の著者であるデビッド・スミス氏とブラッド・ジョンソン氏は「Workplace Allies」のインタビューの中で、「真の職場での公平性を実現するためには、まず第一に家庭での公平性を確立する必要がある」と述べています。さらに、両親が家庭の仕事を協力して分担する姿を子供たちが目にすることで、その価値観が自然と身につき、将来のキャリアや人格にも良い影響を与えることが期待されます。このように、考え方や行動を家庭から見直していくことで、これまで修正が難しかった「性別による基準」が、ゆっくりと改善されていくのです。

性別による役割分担意識は家庭でも、職場でも

現代の男性たちは、その意志ひとつで、家庭でも職場でもジェンダー平等に向けた具体的な行動を取れるはずです。男性が家事や子育てに積極的に参加すると気持ちを固め、家庭での仕事を女性と平等に分担することで、こういった仕事も会社での仕事と同様の価値があることを確実に周囲に示すことができるからです。また、育児休暇の取得や勤務時間への柔軟な対応など、「ワークライフバランス」を改善するよう勤務先に働きかけることも重要です。管理職の男性たちは若手社員のメンターとなり、家庭と職場の両方で率先した行動を示すべきだと考えます。

このシフトチェンジでの男性たちの役割はとても重要で、よりバランスの取れた公正な社会は男性の協力抜きには成立しません。まずは各々の家庭で家事を協力して分担することから始めれば、それが職場での平等へと広がり、家族、組織、やがては社会全体への利益につながるはずです。公平性は、インクルーシブな職場を作りあげるために、私たちの考えや行動の根幹とすべき大変重要な要素だということを、常に忘れずにいたいものです。

(こちらは英語による執筆記事の日本語訳です。是非、オリジナル英語版もご覧ください。)


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