「平等」と「公平」の違い|インクルーシブな社会に生きるために

Credit: Storyset via Freepik


皆さんは、「公平性」と「平等性」の違いについて考えたことはありますか? 上記イラストの左側では、それぞれの身長差に関係なく、3人全員に同じ高さの踏み台が「平等」に与えられています。そのため、身長が足りない子供は柵の向こうを見ることができません。一方で右側は、個人の身長の違いを考慮し、柵の向こうを見るために必要な個々の高さの踏み台が「公平」に与えられています。つまり、全員に差異なく同じ対応を取るのが「平等性:Equality」であり、個々に合ったものを目的に合わせて提供するのが「公平性:Equity」というわけです。

平等性とは全員を同じように扱うこと

不公平のない完璧な世の中であれば、平等な対応だけでも十分な公平性へと繋がります。しかし現実は理想とは程遠く、人々もまた完璧ではありません。平等性は、すべての人を一律に扱うことを目指したものですが、一部の人々にとっての構造的な不平等や、経済的な環境、健康問題など個別の課題を見落としがちです。ただし、基本的人権についての議論などには、この平等性の要素が重要です。すべての人は、出自に関係なく、医療や教育などのサービスを利用し、安全な生活を送る権利を平等に持っているためです。

公平性とは個々のニーズに合わせた支援を行うこと

公平性とは、特定の課題に対応できるように資源や支援を状況に合わせて調整し、誰もが成功に必要な手段を得られるようにすることです。すべての人が同じ環境にいるわけではないので、公平性こそが、個々の財政状況の差を埋める役割を果たしてくれるのです。但しこれは特別な待遇を行うという意味ではなく、それぞれの能力や状況に応じた支援を行い、全員が目標を達成しやすい環境を整えるということを指します。

公平性を表す例として、特別支援教育があります。授業についていけない一部の学生には、個別の学習計画を組む、追加補講を行う、試験の時間を数分延長するといった対応により、学習成果に大きな違いが生まれます。こうした配慮や個別調整により、学習スタイルや能力の違いにかかわらず、すべての学生が自分の可能性を最大限に発揮できるチャンスが広がるのです。同様に、非常に優秀な学生にはより高度な授業が必要になることもあり、飛び級といった対応を行う場合があります。これは、公平性がどちらの方向にも有効に働くことを示しています。

公平性が重要といわれる理由

公平性は、社会環境における不平等の根本的な原因を探り出し、構造的な障壁を取り除くことを目的としています。全ての人が一律に同じサービスを受けるのではなく、必要な人が必要な支援を受けることで本当の公平性へと繋がっていき、人々は公正な機会を得られるようになります。

再び教育の話に戻ると、奨学金やメンターシッププログラムなどの支援策により、経済的な事情で進学が難しい学生でも高等教育を受けることができます。こうした支援がなければ、各々の経済的格差がそのまま教育機会の差として現れてしまうはずです。このように、公平性は、すべての人が参加できるインクルーシブな社会を促進し、生まれながらの環境に左右されることなく、能力と努力によって報われる社会の実現につながります。

しかし、公平性はしばしば「不公平」や「逆差別」だと誤解されることがあります。特別な支援の必要がない恵まれた人々にとっては、「特定の人だけが手厚い支援を受けるのは不公平だ」と感じてしまうためです。人々の間にこのような反発感情があると、公平な施策の実施が困難になってしまいます。そもそも社会における公平なシステムを構築するには、多様なニーズへの深い理解が必要です。全ての人に同じ解決策を適用するのでは意味を為さないため、政府や自治体は格差の存在と状況を認識し、適切な対応を行うよう、戦略的に取り組まなければなりません。公平性を保った施策の展開は容易ではありませんが、公正なシステムを目指す努力を止めてはいけません。

平等性は社会の重要な原則ではあるものの、それだけでは公正さを確実にすることはできません。本当の意味での平等、つまり「すべての人が同じようにチャンスを得られること」は、公平性が存在して初めて実現できるものです。それぞれの人が必要な支援を受けられるようにすることで、公平性はインクルーシブな環境を育み、誰もが充実した人生を送れるような社会を作ります。そのため、学校や職場、地域社会は、公平性を重視した取り組みを優先し、よりインクルーシブで公正な社会を築くことが必要です。公平性の推進によって、誰かが不当に得をしたり、逆に不利益を被るなどということはありません。自分の可能性を最大限に発揮できるよう、全ての人が適切な支援を受けられることが、公平性の本質です。

活動家イベントで「公平性=愛」と掲げるプラカードを持つ女性

(こちらは英語による執筆記事の日本語訳です。是非、オリジナル英語版もご覧ください。)


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