2020年、フランス映画「キューティーズ(原題:Mignonnes)」がNetflixで公開されると、未成年の少女たちに対する性的な描写に対し、瞬く間に世界中で批判が巻き起こりました。この作品には本来、11歳の少女がダンスチームに加わる姿を通じて、現代社会が少女たちを性的対象とすることへの批判の意図がありました。児童へのこうした「過度な性的対象化」は英語でOversexualizationと呼ばれ、近年特に問題視されています。しかし、現状批判を行うはずのこの映画が、「子役をより性的に扱っているのではないか」と多くの人に受け取られ、かえって強い反発を招きました。
この映画における描写や表現の是非は別として、問題意識そのものは的外れだとは言えません。実際に、子どもたち、特に女子は非常に早い段階から性的な視線にさらされています。アメリカの性暴力被害者支援団体であるRAINN(Rape, Abuse and Incest National Network)によると、女子は9人に1人、男子は20人に1人が性的虐待を経験しているとされています。また、10代の約10人に1人が、オンライン上で大人から性的な誘いを受けた経験があるといいます。
日常に潜む性的虐待
子どもを過度に性的な対象として扱う風潮は、世の中のさまざまな場面に広がっています。テレビ番組や書籍、ニュースだけでなく、子ども服のデザインや販売方法にもその影響が見られ、子どもたちに深刻な影響を及ぼしています。実際に、子どもたちがPTSDを発症したり自傷行為に走ったりするケースもあり、自殺願望につながる危険性も指摘されています。

Credit: 米国ヒット映画における女性の性的描写の割合(年齢別) Female sexualization in top grossing films in the U.S. 2018, by age group, via Statista
幼い頃から求められる「大人びた」イメージ
アメリカの下着ブランド、ヴィクトリアズ・シークレットのティーン向けブランドPINKは、商品を過度に性的なイメージで販売しているとして、長年批判を受けてきました。実際、同社の最高財務責任者は「15歳の少女は、大学生のようにもっと年上でクールなイメージに憧れている」と発言し、こうしたマーケティングが意図的な戦略であることを認めています。
しかし、子どもの性的対象化は、ティーン向け商品に至る前の段階からすでに始まっているとされ、SNSには幼い頃から男子用と女子用の服のデザインの違いに疑問を呈する母親たちの投稿が数多く見られます。例えば、女児向けのショートパンツは幼児用であっても丈が短く、ヒップラインを強調するブーティーショーツのようなデザインになっていることがあります。
小学生向けの女子用水着でも、脚ぐりのカットが大きく、上半身の丈が短いセパレート型など、機能性よりも必要以上に体のラインを強調するスタイルがよく見られます。こうした傾向は、子どもが出場する美少女コンテストではさらにエスカレートします。アメリカのテレビ局TLCの番組「Toddlers & Tiaras」では、3歳前後の幼児が大人びたメイクを施してコンテストに参加する様子が映し出されました。幼い子どもたちは、こうしたファッションやメイクを通して、「早すぎる成長」を強要されているのです。
被害が軽視される男子、責任を問われる女子
子どもたちの過度な性的対象化において最も大きな問題は、男子も女子も同様に、しっかり守られていない点にあります。男子が被害に遭った場合、ニュースの見出しなどで虐待として扱われることは少なく、被害が軽く受け止められたり、場合によっては一種の経験として肯定的に語られてしまうことさえあります。一方、女子が性的虐待を受けた場合には、被害者の言動や服装が注目され、あたかも本人に落ち度があるかのごとく責め立てる傾向が見られます。
ウラジーミル・ナボコフの小説「ロリータ」とその映画作品は典型例です。原作は幼い継娘に執着する男の歪んだ欲望を描いた物語でしたが、スタンリー・キューブリック監督による映画版では、衣装や仕草によって未成年の少女をセクシーな存在として描き、「誘惑する女」へと変質させました。
性的被害に遭った未成年の少女に対し、自己責任を問うような声は現実社会で根強く、エプスタイン文書をめぐる議論でも同じ傾向が見られます。報告によると、同事件の被害者の中には、15歳の少女も含まれていました。ところがジャーナリストのメーガン・ケリーは、この少女への虐待について、より年少の子どもへの虐待とは異なり、さほど深刻ではないかのように軽視する発言を行いました。
信頼できる大人の存在が子どもを守る
過度な性的対象化は、当然ながら子どもたちに深刻なダメージを与えます。児童への性的虐待防止に取り組む団体Darkness to Lightの調査によると、信頼できる大人の存在や、子ども自身が性的虐待という行為は異常であるという認識を持つことが、被害を打ち明けるきっかけになるということです。
しかし、被害を大人に話すことができた子どもは全体のわずか26%にとどまり、警察などに通報されたケースは12%に過ぎません。この数字は、子どもたちが安心して声を上げられる社会を、私たちが十分に築けていないことを意味します。
子どもたちを被害から守るためには、周囲の大人一人ひとりが行動を変えていく必要があります。たとえば、教師や保育士、親など、子どもと関わる大人が児童性的虐待防止の研修を受け、虐待の兆候や適切な対応方法、被害の通報の仕方などを学ぶこと。子どもを性的な対象として扱う行動、問題のある商品やメディア表現に対して毅然と異議を唱えることなどが重要です。こうして、児童の過度な性的対象化を拒絶する強い姿勢を示すことこそ、子どもたちを守るために不可欠な行動なのです。

(こちらは英語による執筆記事の日本語訳です。是非、オリジナル英語版もご覧ください。)

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