反ホームレス法が狙う街からの排除|共に生きるための政策と支援

Credit: Graywalls, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons


アメリカでは近年、ホームレスを排除することを目的とした法律が増えています。1990年代以降、ホームレスへの理解や共感は高まってきたものの、実際にホームレス生活を送る人々が、日々の生活で直面する困難や精神的負担については、あまり知られていません。テキサス州にあるホームレス支援施設「アーリントン・ライフ・シェルター」によれば、ホームレスになる主な理由は、依存症や家庭内暴力、突然の解雇など多岐にわたります。それにもかかわらず、42%の人が「本人のやる気の欠如や怠け心」が原因だと考えています。こうした偏った視点に基づく対策が進められると、「敵対的建築(Hostile Architecture)」のように、ホームレスを街から排除し、その存在を単に視界から消すだけの表面的な取り組みにつながってしまいます。これでは、問題の本質に向き合い、根本から解決することはできません。

排除では解決できないホームレス問題

2025年、ミシシッピ州で反ホームレス法が成立しました。これにより、街頭で通行人に金品を乞う行為には、事前に役所などからの許可を得なければならなくなりました。さらに、公園や道路で寝ることも禁止されました。一方、カリフォルニア州サンホアキン郡の監督官トム・パティは、「ホームレスを同じ場所にとどまらせるのは彼らにとっても負担であり問題だ」と述べています。彼は、ホームレスが街の一定の場所に寝泊まりし続けることは本人たちにとっても望ましくないとし、その場から移動させることが正しいと主張します。そして、彼は、市条例によって住居を持たない状態を禁止すれば、ホームレスの生活環境改善のきっかけになると考えています。

問題の本質を見えにくくするこのような法律は、「仕事さえ見つかればホームレス問題は解決する」という前提に立っています。しかし実際には、ホームレスの40.4%は仕事に就いていて、それでも住まいを確保できていないのが現状です。アメリカでは手頃な価格の住宅が減少し、家賃や住宅価格が高騰する深刻な住宅危機に直面しています。さらに、トランプ政権は公営住宅や低所得者向け住宅への入居を最長2年に制限する計画を打ち出しました。この計画が実施されれば、140万人以上が新たにホームレスになる恐れがあります。

手頃な価格の住宅価格高騰への懸念が、高いことを示すグラフ

住宅危機を深刻な問題と考えるアメリカ人が増加 Pew Research Center, Washington, D.C. (January 18, 2022)


政府が直接関与すべき社会問題

ホームレスを大幅に減らすためには、国からの支援が不可欠です。フィンランドでは、「ハウジング・ファースト(Housing First)」政策が功を奏し、2008年から2022年の間に、長期的にホームレス状態にある人々の数が劇的に減少しました。これは、従来のホームレス支援サービスを見直し、政府による住宅提供と福祉制度の充実への転換を図ったものです。しかしアメリカ同様、今後フィンランドでも福祉制度縮小が見込まれており、ホームレスが再び増加に転じる可能性があります。こうした状況は、どの国においても、政策や制度がいかに重要であるかを示しています。

誤解による悪循環を断つために

ホームレスの増加は国や社会の構造的な問題であり、「仕事さえあれば解決する」という誤った思い込みは事態をさらに悪化させます。

前述のように、政府資金による住宅提供や福祉サービス、依存症治療などの支援策は、実際に多くの人から広く支持を得ています。ある調査では、54%が政府によるホームレス支援を支持し、47%がメンタルヘルスや薬物乱用対策のさらなる拡充を求めているという結果もあります。こうした数字は、地域社会のすべての人々を支えるために、地方自治体と連邦政府が一体となって取り組むことの必要性を強く訴えかけています。

ニューヨークのセクション8(低所得者向け)マリア・イザベル住宅

低所得高齢者向け住宅(ニューヨーク)

もし政府が必要な支援を怠れば、ホームレスは今後も増加し続け、街はホームレスを視界から追い出すための、監視と規制だらけの場所となってしまうでしょう。

地方自治体がホームレス問題を解決すべきと市民の意見を示す円グラフ

ホームレス問題に関し政府や州のプログラムより地域社会に寄せられる高い期待
Credit: National Alliance to End Homelessness

(こちらは英語による執筆記事の日本語訳です。是非、オリジナル英語版もご覧ください。)


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