農業を持続可能なビジネスへ|女性農家がもたらすDEIの恩恵

国連は今年、2026年を「女性農業従事者の国際年」と定める決議を行いました。現在、米国で女性が所有する農場は全体のわずか9%ですが、実に120万人以上の女性が農業に従事しており、今もその数は増え続けています。2023年に米国下院において、「Women in Farming Act(女性農業従事者法案)」が提出されたことでも、女性が農業に参入しやすくなることが期待されます。この法案は、女性が農業で自立する際に立ちはだかる様々な課題解決を目的としていますが、具体的には、農地や機械の取得を容易にすること、保育サービスを充実させることなどが挙げられます。この法案の可決により、女性農業従事者への助成金や融資が拡大され、より多くの農地取得が可能になり、女性にとってより使いやすく汎用性の高い機械を開発するための研究も進みます。また、チャイルドケアサービスが不足している地域においては、より利用しやすいようサービスが拡充されます。この法案は単に女性が農業に参入しやすくするだけでなく、アメリカの地域社会を活性化し、全米における女性の地位向上も目的としているのです。

農地不足と農家の高齢化

現在、米国の農家の大半は高齢者です。従って、今後10年間で多くの農家が農業の現場から退くことが既に見えています。こういった農業人口の減少が非常に懸念される中、若い世代が農業に参入するのをためらう主な理由は、農地取得のハードルが高いことにあります。農業に必要な土地を所有し、資財を築くにはそれなりの時間がかかるため、それが難しいと判断した多くは農業を諦めて都市部へと移住してしまいます。そのため、初めて農業を始める人や女性農業従事者が農地を取得しやすくする仕組みができれば、高齢農家の後継として新たな農業従事者の確保が可能になると期待されています。

食料生産に留まらない女性農家の貢献

さらに昨今では、気候変動による温暖化で、収穫量の減少や食料の供給問題、地域経済の停滞が危惧されます。しかしながら女性が経営する農場は、気候変動問題を軽減する効果があることが明らかになっています。それは、女性農業従事者は通常、男性の農家よりも小規模な農場を運営していることにポイントがあります。小規模経営であることで、オーガニック農業など持続可能な農業手法を採り入れ、温暖化対策や環境保護に積極的に取り組みやすい環境にあるのです。更に女性たちはコミュニティづくりも大切にしており、他の女性農業従事者たちとネットワークを築きながら、農業に関する知識を共有し、地域農業の教育にも力を入れています。

そして女性農業従事者は、気候変動だけでなく、地域社会にも大きな影響を与えています。ペンシルバニア州立大学およびウィスコンシン大学マディソン校の研究によると、農家の中で女性の割合が多い地域では貧困率が低く、平均寿命も長いことが分かりました。地元の食料供給活動も盛んで、観光と農業を融合させた「アグリツーリズム」を始める女性農業従事者も増えています。地産地消の活動に始まり、様々な形で地域経済がより活性化していることが確認されています。

イタリアの広大で人気のあるアグリツーリズモ「カサ・ディ・バッコ」

Agriturismo Casa di Bacco
Credit: Walter Giannetti, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons


農業分野におけるDEI推進

DEIは一般的に、情報通信産業など男性が多い業界で取り上げられることが多いですが、農業分野におけるDEIの推進は、より幅広い地域社会に利益をもたらす可能性があります。女性農業従事者の参入や多様性を促進する新たな取り組みは、持続可能な農業へのニーズの高まりと共に、地域経済のみならず地球環境にも影響を与える可能性を秘めているのです。

(こちらは英語による執筆記事の日本語訳です。是非、オリジナル英語版もご覧ください。)


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