Credit: Edward Middleton, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
2025年の今、インターネットのない生活は、もはや電気のない暮らしと同じくらい困難になっています。インターネットは、私たちにとって贅沢品ではなく、日常生活に欠かせない必需品へと進化しました。教育、医療、仕事、そして地域社会の中で生きていくために不可欠な、生活の基本ツールと言っても過言ではありません。新型コロナウイルスの世界的流行は、こうした傾向に拍車をかけました。コロナ禍によって人々の価値観や暮らしが大きく変化する中、インターネットは単なる利便性を超え、生活の質を左右する存在となったのです。しかし今もなお、世界中で何百万人もの人々が、インターネットにアクセスできない地域での暮らしを余儀なくされています。
ネットがつながらず取り残される地方コミュニティ
南アフリカには現在、約5080万人のインターネットユーザーがいます。これは全人口の約79%にあたり、開発途上国の中では非常に高い普及率です。一見すると、全国的な普及も間近のように思えますが、実際には1300万人以上がいまだに利用できない状況にあります。インフラ整備はどうしても都市部に集中しがちであり、地方のコミュニティは取り残されてしまうためです。たとえば、南アフリカ最北部に位置するリンポポ州の農村地域に限定すると、安定したインターネット環境がある世帯はわずか1.7%にとどまっています。
そのリンポポ州の中にある旧黒人居住地、マンケウェング・タウンシップでの調査結果からは、デジタル格差による労働者への影響が明白です。現在は、就職活動、研修、仕事上のコミュニケーションにもインターネットは欠かせませんが、家庭でも利用できる人は、回答した住民のうちわずか20%でした。その主な理由として、高額なデータ通信料が挙げられます。実際、調査対象となった就業者のうち70%が、「不安定な接続環境や高い費用がキャリアの成長や昇進の妨げになっている」と回答しています。

Credit: The World Bank via Statista
アクセスの有無は社会的孤立を生む
インターネットアクセスをめぐる問題は、単なる技術的な課題ではありません。インクルージョン(包括性)やエクイティ(公平性)といった、社会的な側面とも深く関わる重要なテーマです。たとえば、多くの高齢者はデジタル技術の進化から取り残され、情報セキュリティのリスクにさらされたり、オンライン医療を中々利用できない状況にも直面しています。同様の問題は、公共サービスが行き届かない地域の人々にも当てはまります。結果的に、こうした人々は社会とのつながりを失い、孤立感を深めてしまうのです。
このことは、ガーナ北部で行われた調査からも明らかです。インターネット環境が整っていないことで、人は誤情報を信じる傾向が強くなってしまいます。偽の情報は、テレビやラジオといった従来型のメディアのほか、地域の集会や立ち話のような口頭でのやりとりを介しても急速に広がっていきます。インターネットなどで情報の真偽を確認できない人々は、もっともらしい噂を鵜呑みにすることが多く、結果として正しい判断ができなくなってしまいます。
国による「つながる社会」への取り組み
過去10年で、南アフリカは「つながる社会」に向けて着実に歩みを進めてきました。政府は、「South Africa Connect」や、南アフリカ独立通信庁(ICASA)による規制改革などの政策を通じて、特に通信インフラが未整備な地域に対し、安価で高品質なインターネット環境の整備を進めています。毎年12月10日の人権デーには、こうしたデジタル・インクルージョンを促進する取り組みが紹介され、農村地域などインターネット環境が整っていない家庭、高齢者、障がい者、貧困層などは重点的な支援対象となります。テクノロジーの進歩だけでなく、社会的な壁を取り除くことも、本当の意味でのインクルージョンには欠かせません。これらの取り組みは、インターネット接続を広義の人権の一部と位置づけ、人々が社会とつながり、経済的な自立をサポートすることを目指しています。
インターネットへのアクセスは、基本的人権とみなすべきでしょうか。この問いは、いま世界中で注目を集めています。筆者個人としては、明確な人権の一部であると考えます。世界各国の人権に関する法律を見てみると、すべての人には、食料を得ること、教育を受けること、働くこと、健康であること、そして自由に生きることが等しく保障されています。そして現代では、これらの基本的権利への手段として、インターネットは欠かせない存在です。このような事実を踏まえると、インターネット自体もまた、基本的人権のひとつとであることは明らかではないでしょうか。

ゲストライター T. Chiramboによる寄稿
(こちらは英語による執筆記事の日本語訳です。是非、オリジナル英語版もご覧ください。)

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