「老害」はもう古い!シニア層を戦力化するインクルーシブ社会

年齢についての多様性を考える時、職場では若い社員をどう教育し、いかに定着させるかといった課題を思い浮かべることが多いのではないでしょうか。しかし、現代は職場の状況にも変化が見られ、若手だけではなく高齢の労働者を含めたインクルーシブな職場づくりが課題として挙げられます。                                                                

一昔前までは肉体労働、いわゆるブルーカラーが職業の大半を占めていましたが、今では多くの職種が「エイジフレンドリー」となり、幅広い世代が仕事を続けられる環境が整いつつあります。エイジフレンドリーとは、あらゆる年齢層の人々が快適で安心して暮らし、活動できるように配慮された物や環境、制度のことです。仕事の場においても、若者から高齢者まで幅広い年齢層が能力を発揮しやすい制度や文化が整った環境を意味します。実際、それをサポートする技術の開発や在宅勤務の普及が進み、勤務時間も一律ではなくフレキシブルに対応する企業も増え、より多くの人々がより長く働き続けることが可能となりました。世界的に高齢化が進む現状を考えれば、今後も高齢労働者の割合は増え続けることが予想されます。

世界的に増加する「働く高齢者」

過去40年間で、アメリカでは65歳以上の高齢者の就業率が着実に上昇しています。現在は65歳以上のアメリカ人の19%、75歳以上の9%が何らかの仕事に就いており、1987年には65歳以上が11%、75歳以上が4%であったことを考えれば、これは大幅な増加と言えます。世界経済フォーラムの推計によると、G7諸国全体では、2031年までに55歳以上の労働者が全体の25%を占めるとのことです。その中でも日本は顕著であり、同じく2031年には、55歳以上の労働者が日本の労働力の40%に達するとの予測が出ています。

米国ワシントンDCにてAARPとFEMAが覚書締結する様子

人口動態の変化で促される変革

このような労働力の高齢化が世界に拡大することで、今後は「年齢差別(エイジズム)」が大きな障害になるとの懸念もあります。高齢労働者は経験も知識も豊富ですが、どうしても「時代遅れ」、「挑戦するマインドやモチベーションが弱くスキルに欠ける」といった偏見を持たれます。この偏見があることで、高齢者は一度仕事を失うと再就職が難しいケースが多く、結果として高齢世代のホームレス化や社会的孤立、慢性的な健康問題が社会全体として増え、弱い立場の高齢者を増々追い込む可能性が出てきます。

この問題に対処するため、企業や組織は「従業員のリスキリング(スキルの再習得)」や「労働力開発」に力を入れ、人材投資を進めています。アメリカで2014年に成立した「Workforce Innovation and Opportunity Act(労働力革新機会法)」では、過去最大の公的資金を充当し、企業と従業員がトレーニングを受けやすい環境を整えました。しかし現在のところ、こういった職務関連のトレーニングを受けている人は全体の41%に留まっています。特に高齢者、低スキル層、パートタイム労働者などはこのようなトレーニングが最も有効であるはずですが、残念ながらまだ参加する人は少ない状況が続いています。スキルアップの支援自体は提供されているものの、肝心なその情報が、必要な人々にしっかり届いていないという別の問題があります。

高齢者の正しい労働価値認識

年齢の多様性は、ジェンダー、性的指向、人種、宗教といった他の多様性と同様に、企業にとって非常に重要で価値あるものです。企業が「世代を超えた労働力を強みに変えたい」と本気で考えるなら、高齢者の採用を推進し、社会的偏見や構造的問題に真剣に取り組み、彼らの労働力としての価値を社会に再認識させる必要があります。それと同時に、制度面からも充実したサポートを提供していくことで、高齢者にとって働きやすく、やりがいを感じられる職場環境が徐々に実現されていくことでしょう。

若さは永遠ではありません。いずれは誰もが、高齢者となるのです。

(こちらは英語による執筆記事の日本語訳です。是非、オリジナル英語版もご覧ください。)


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