ポリアモリーに見る家族の多様性|幸福度が高い3人親の子供たち

アメリカやカナダの一部の州では、3人以上の親が夫婦のような立場として、家族として暮らすことが法的に認められています。いわゆる「ポリアモリー(polyamory)家族」「3人親」などと呼ばれるこの新しい家族の形は、実の両親に再婚相手を加えた全員が親となるケースや、代理母出産で子供を迎えた全員が男性または女性の3人親、そしてポリアモリーとして生きる人々など、その形態は実にさまざまです。ポリアモリーは日本語で「複数愛」と訳され、これは複数の恋人やパートナーとの関係を、当事者全員が合意の上で築いていくスタイルです。日本ではまだ少数派ですが、パートナーシップの多様化により、こうした家族形態が徐々に増えてきています。しかし法的な支援の面では、アメリカやカナダでもまだ十分とは言えません。そうした中、カナダ・ケベック州の裁判所は、「3人親」またはそれ以上の親がいる家族に親権を認めないのは違憲であるとの判決を下し、多様な家族形態の実現や複数親の家庭にとって大きな前進となりました。これにより、従来の関係性に縛られることなく、子どもを育てるすべての大人が、法的に親と認められるようになったのです。

新しい家族形態と実際の幸福度

近年では「ポリアモリー」や「スラプル(throuple:3人カップル)」など、「合意の上の非一夫一婦制」の関係を選ぶ人が増えています。しかし、一夫一婦制と異性愛を基準とした価値観はいまだ社会に深く根付いており、「父親と母親が一人ずつ」という伝統的な家族構成ではない環境が、子どもに悪影響を及ぼすのではないかという偏見が残っています。こうした思い込みは、ポリアモリーに精神的な負担を与えるだけでなく、3人以上の恋愛関係を築く人々の幸福について誤った印象を広める原因にもなっています。ところが実際には、恋愛やパートナーシップの形が一対一か複数かという点によって、幸福度に大きな差はないことが研究でも示されています。

様々なタイプの非一夫一婦制の関係を示すチャート

ポリアモリーと多様な恋愛のかたち
Credit: ALEXANDRIA SAURMAN, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons


親が3人以上いる家庭で育つ子供たち

英語には「It takes a village.(子どもは社会全体で育てるもの)」ということわざがありますが、上述のような複数親の家庭環境はその良い例と言えます。3人以上の複数の親が子育てに関わる家庭では、親同士や親と子の間で率直な話し合いが大切にされることが多く、親たちが自分に対等に向き合ってくれていると感じる子どもも少なくありません。たとえ親子で喧嘩になっても、対等な関係があるからこそ、親も自分の悪かったところを素直に認めて謝ります。そうしたやりとりの中で、子どもたちは親への信頼をより深めていくのです。学術誌「Journal of Social and Personal Relationships」に掲載された研究によれば、ポリアモリーの家庭で育つ子どもたちは、親に複数の恋愛パートナーがいることを、むしろ嬉しいと感じていることが多いそうです。自分の世話をしてくれる、一緒に楽しく遊んでくれる、安心できる。そんな存在が家庭に複数いることが、子どもたちの幸福感につながっているのです。

このような家庭において親の権利を法的に保障することは、子どもの健全な育成にも不可欠です。ポリアモリーや多親家族が法的に認められることは、社会の偏見を和らげるだけでなく、子どもたちが安心して暮らせる環境づくりにもつながるのです。そして、子どもの健康や教育に関する重要な判断を、政府や自治体ではなく、親自身が行える体制を整えることも重要となります。

多様な家族のかたちを受け入れる社会へ

家族のスタイルが多様化する現代においても、「子どもを守る」という言葉を盾に、従来とは異なる家族のかたちを選ぶ人々への差別を当然とする向きが見られます。たとえば、地域の公立図書館における禁書措置や、トランスジェンダーの若者への法的規制においても、子どものためという名目で、多様性を制限しようとする動きが繰り返されています。現在のアメリカでは、ポリアモリーは差別から守るべきマイノリティとしても法律上認められておらず、職場などで不利益な扱いを受けた場合も、保護や救済を求める法的手段がありません。このように、法制度の遅れや社会の偏見など、課題は山積しています。まずは「子どもに悪影響があるのでは」、という反射的な不安や思い込みにとらわれず、柔軟な見方を一人ひとりが心掛けること。それが、多様な家族や関係性を認め、法の下で平等に保障される社会への第一歩です。        

ダブリンプライドパレードで「ポリアモリー」バナーを掲げる人々

Credit: Giuseppe Milo, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

(こちらは英語による執筆記事の日本語訳です。是非、オリジナル英語版もご覧ください。)


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