若い新入社員が職場に入ってくる一方で、定年後の再雇用で働く高齢者も増え、いまや職場には5つの世代が共に働く時代となりました。これほど多様な世代が一つの組織内に共存するのは、これまでにない状況と言えます。理想的には、どれほど世代が異なっていても、年齢による対立や差別(エイジズム:Ageism)が生じない職場が望まれます。しかし、人は自分が理解できない存在を一括りにしがちで、自分以外の世代に対して否定的なイメージを抱く傾向があります。たとえば、戦後のベビーブームで生まれた団塊世代は、「頑固」「変化を嫌う」と評され、1990年代後半以降に生まれたZ世代やα世代は、「怠け者」「自分勝手」といったレッテルを貼られることも少なくありません。

5つの世代の具体的な出生年
Credit: EY
ネガティブコメントが招く分断の拡大
先日偶然、LinkedInである管理職の方が、Z世代の部下について軽く揶揄するような投稿をしているのを目にしました。おそらく軽い気持ちで書かれたものでしょうが、コメント欄にはさまざまな世代の管理職たちが集まり、Z世代との仕事のしにくさについての思いを吐露する場と化していました。中には「Z世代はもう懲り懲り。人間関係が難しいとか、精神的に疲れたから休みたいとか、とにかく愚痴が多くてうんざりしている」といった強い不満の声も見られました。
もちろん、そうした不満に共感する人がいるのも事実です。しかし、このようなコメントが繰り返されることで、職場や社会にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。世代間の分断を深めるだけでなく、従業員が自由に提案できる風土を損ね、職場への不満が蓄積されれば、離職率の上昇にもつながりかねません。また、Z世代に対する先入観が広がれば、新卒採用の機会を狭め、若年層の就職難にも拍車をかけます。若い世代が休暇やメンタルケアを必要とする背景に目を向けず、先入観で判断してしまうことは、従業員にとっても、企業の生産性にとっても大きな損失となり得るのです。
年齢による偏見は若年層にも高齢者にも向けられる
一方で、経済的な理由から再雇用の道を選ぶ高齢者や、定年延長によって働き続けるシニア世代も、年齢による偏見の対象となります。高齢の従業員は役に立たないといった先入観は、社内でのいじめや孤立を招くことさえあります。もちろん、どの世代でも常にスキルを向上させる努力は必要ですが、高齢者が培ってきた知見や人脈、多様な経験は、若手にとってかけがえのない指針にもなります。年齢に基づく差別は、若者にも高齢者にも悪影響を与え、双方の成長と学びの機会を奪ってしまうのです。

スキルに基づく採用をしている企業の割合
Data via NACE
互いを尊重し率直に語り合うことの重要性
年齢にとらわれない真のインクルージョンを実現するためには、世代を超えて互いに心を開き、それぞれの価値観や経験を理解しようとする姿勢が欠かせません。私自身、団塊世代の両親と何度かこのテーマについて語り合う中で、彼らの考えを形づくってきた時代背景や価値観に触れることができました。また、私が現在の厳しい雇用状況や労働環境への不満を率直に伝えることで、若者が怠けているのではなく、価値観が異なるだけだと理解してもらえるようになりました。こうして互いの視点を尊重し合うことが、建設的な対話の土台となります。これは、親子間に限らず、企業における経営層と従業員の関係にもそのまま当てはまるはずです。
年齢の多様化が進む今の職場では、「自分たち」と「彼ら」といった分断の構図を乗り越え、世代を超えた真の協働を実現する努力が求められています。企業のリーダーが、若手とベテランの双方の経験やアイデアを積極的に活かすことで、多様な視点が生まれ、同僚同士が互いに学び合える風土が育まれるでしょう。それこそが、最終的にはより生産的でイノベーティブな職場をつくる原動力になると、私は信じています。

(こちらは英語による執筆記事の日本語訳です。是非、オリジナル英語版もご覧ください。)

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