Credit: Kakidai, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
先進国においては、すでにジェンダーに関する固定観念はある程度取り払われ、もはや不平等は存在しないといったイメージが広がっています。しかし現実には、未解決の課題が数多く残されたままです。先日、私たちラーニングサイクルは、東京女子大学女性学研究所が定期開催している講演会にお招きいただく機会がありました。そこで私たちは、日本企業における根強い男女格差の問題について、学生や教員の皆さんに向けて外部講師として講演を行い、その現状をお話しました。特に男女賃金格差や管理職に占める女性の割合の低さに焦点を当てたこのプレゼンテーションに、30名以上がオンラインで参加。選抜された学生と教員数名が、現地会場で直接議論に加わりました。
アメリカのジェンダー格差と戦う活動家たち
日本ではしばしば、ジェンダー平等のモデルケースとしてアメリカの状況が引き合いに出されるものの、その実情についてはあまり知られていません。しかし、アメリカにおいても依然として男女間の格差は根強く、多くの人びとがその解消に向けて取り組んでいるのが実情です。たとえば、若い女性にプログラミング教育を提供し、IT分野でキャリアを築けるよう支援する非営利団体「Girls Who Code」の創設者、レスマ・サウジャニ。また、先住民女性に対する家庭内暴力の啓発活動に取り組むアクティビスト、イザベラ・アイウクリ・コーネル。彼らのような世代を超えた女性活動家たちが、不平等に対して今も行動を起こし続けています。日本でもジェンダー格差への意識が高まり、より多くの若者たちがその問題に対し声を上げていくことが、社会を変える確実な一歩となるでしょう。
日本でも始まった男女間賃金格差の開示義務
女性管理職の比率の低さは、先進国に共通する課題であり、職場に根強く残る男女格差の象徴とも言えます。企業格付けで知られるスタンダード・アンド・プアーズによれば、2023年時点で、アメリカにおける課長級の役職に女性が占める割合は約30%、部長級以上のポジションではわずか約20%にとどまっていると報告されています。

アメリカの女性管理職の割合
Data: via S&P Global
一方、日本の上場企業の女性管理職比率は平均9.8%と、アメリカを大きく下回る水準です。男女の賃金格差も依然として大きく、女性の平均賃金は日本では男性の78%、アメリカでは83%となっています。こうした数字を背景に、学生たちに自分が「少数派」だと感じた場面を問いかけたところ、ある学生は、小学生の頃に入っていた運動クラブで女子は自分だけだったと振り返りました。今ではそうした意識は多少薄れつつあるものの、かつては「運動クラブは男の子が入るもの」といった社会的な風潮があったとされ、性別に基づく役割意識が職場だけでなく日常生活の中にも根強く残っていたことの表れではないか、という声も聞かれました。
ジェンダー格差への関心の高まりを受けて、日本でも女性社員の割合や賃金格差の開示を企業に義務づける制度が導入されました。これらの情報を数字として公表することは、企業の意識を高め、組織改革を促す上で非常に効果的です。イギリスで同様の開示制度を導入した結果、2017年には9.1%だった賃金格差を、2021年には7.9%へと縮小させることに成功しています。

イギリスの時給中央値における男女賃金格差(1997 – 2021)
Credit: Office for National Statistics via ONS.gov.uk
「Equity At Home」からはじまる社会改革
ある学生からは、最近の日本の選挙において、税制や外交、年金、医療保険などが主要な争点として取り上げられる一方で、男女間の不平等についての言及がほとんど見られなかった、との指摘がありました。
こうした問題が軽視されがちな現状は、日本の政界がいかに男性中心であるかを物語っているようにも感じられます。私たちはそれに対し、女性同士が支え合うことに加え、身近な男性たちとも積極的に対話を重ねていくことの大切さを共有しました。また、あらゆる場面で意識の変化を促し、「家庭内の公平(Equity at Home)」という考え方を社会に広く浸透させていく必要性についても言及しました。

これまで続いてきたジェンダーに関する固定観念や不平等の構造は、一朝一夕に変わるものではありません。しかし、日常の中の小さな行動の積み重ねが、やがて社会全体への大きな変化へとつながっていきます。たとえば、家族の中で、父親が「アンコンシャス・バイアス」を持っていたとします。そのことを子供の立場から真っ直ぐに伝え、父親に間違いを理解してもらい、考え方を変えてもらうこともできます。この行動で自分自身に利益がなくても、その父親が勤める企業の女性の部下や職場全体に良い影響を与える可能性が生まれます。確かな変化とは、こうした日常の気づきと行動の中にこそ芽生えるものです。だからこそ、一人ひとりが持つ力を、決して過小評価してはならないのです。
プレゼンテーションの一部を、アメリカ人学生インターンが担当しました。
(こちらは英語による執筆記事の日本語訳です。是非、オリジナル英語版もご覧ください。)

私たちLearning Cycleは、まだDEIについてよくわからない方、具体的な推進方法を知りたい方など、どなたでも大歓迎です!私たちは、様々な知識やご経験に対応したDEIプログラムをご用意しております。ワークショップの詳細はこちらでご確認ください。








