アメリカファーストの医療支援|アフリカに強いる依存と介入

Credit: World Health Organization, CC BY-SA 3.0 IGO, via Wikimedia Commons


2026年初頭、アメリカはAmerica First Global Health Strategy(「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」グローバル・ヘルス戦略)に基づき、複数のアフリカ諸国とおよそ20件の二国間保健医療協定を結びました。この戦略の下、アメリカは各国の財政状態や保健医療体制の強化、そしてなにより感染症の脅威が自国に侵入するのを防ぐことを目的として、一定期間の財政支援を約束しています。近年では、中国もまた、アフリカでの影響力を手中に収めようと、なりふり構わぬ投資と援助を加速させています。

「支援」という名の危険な介入

この医療協定は、アフリカにとって好条件で手厚い支援のようにも見えますが、その見返りとして突きつけられている条件は、あからさまな権力の乱用と言えます。アメリカが求めているのは、国民の健康状態や感染症に関する幅広いデータや情報の提供に加え、現地の医療体制に対する継続的な監視とアメリカの深い関与です。これは、十分な自衛手段を持たない国々を狙った、一方的で不当な搾取と言わざるを得ません。アフリカに必要なのは、自らの力で持続可能な医療体制を築ける環境です。しかし、強国による一方的な支援が、人々の健康情報のプライバシーを脅かすのであれば、それは非常に問題のある二国間協定だと言えるでしょう。

アメリカや中国のような国々がこれほど熱心に支援を持ちかける背景には、アフリカを守ることよりも、その豊かな資源が目当てと見る人が少なくありません。今回のケースも例外ではなく、アメリカは自国の利益にそぐわないないと判断すれば、いつでもこれらの支援から撤退できる権利を保持しています。

また、このような海外援助は、受ける側の国が徐々に援助に依存してしまうリスクをはらんでいます。しかもそれは成り行きとして生まれた依存ではなく、援助する側が他国に対して主導権を握る構造を、確信犯的に作り上げているのです。現在、PEPFAR(エイズ救済緊急計画)による南アフリカ支援は近く打ち切られると予測されていますが、これは、援助によって依存を生み出しながら、支援側の都合で切り捨てられてしまう現実を示しています。PEPFARの資金で運営されているプログラムが、仮に代替措置なしに停止した場合、2025年から2028年の間にHIV感染者は29〜56%、AIDS関連死は33〜38%も増加すると予測されています。

研究と利益の間で失われる命

医療へのアクセス格差が、有色人種に深刻な影響を及ぼしていることは周知の事実です。多くの医療技術は、アフリカの人々を被験者とした臨床試験をもとに開発されてきたにも関わらず、その結果生まれた薬やワクチンは、当のアフリカの人々に十分行きわたることはありません。また、西側諸国の企業は研究のためにアフリカ人の遺伝子データを収集し、完成した治療法を、彼らには到底買えない高値で、あるいは品質を落とした状態で売りつけているのです。こうした不誠実なやり方は、命や健康までもが不平等に扱われている現実を、私たちに改めて突き付けています。

この問題は、コロナ禍でも顕著になりました。WHO(世界保健機関)によると、アフリカ諸国に寄付されたワクチン45万回分は、届いた時点ですでに使用期限が切れており、結局廃棄されたといいます。その結果、多くの人々はウィルスの脅威にさらされ、感染拡大を食い止めることが極めて困難となりました。

他国からの医療支援は、単なる支援というより介入としての意味合いが強く、アフリカの人々の健康や命を守ること以上に、先進国のサプライチェーンの維持を優先し、機能している側面があります。実際、低所得国の医療システムへの投資は、援助国の厳しい監視が伴うことで、その国の保健政策をかえって混乱させることもあります。先進国が求めているのは、大きな混乱のない、自分たちに都合の良い「適度に安定したアフリカ」です。健康や感染症に関するデータ監視は、現地の人々の健康や生活を守るためではなく、アフリカの土地や資源という利権へのアクセスを守る仕組みなのです。

アフリカに対する米国と中国の対外直接投資の年次推移を示すグラフ

アフリカに対する米中直接投資(FDI)の比較
Credit: The Ministry of Commerce of China, U.S. Bureau of Economic Analysis via The China Africa Research Initiative Blog


未来を守るアフリカの選択

すべての責任をアメリカなどの外国勢力に押しつけるのは簡単です。しかし、この搾取の構造に加担しているアフリカの指導者や政策立案者たちの責任も、極めて重いと言わざるを得ません。もし彼らが本当に国を思うなら、援助資金にすがるのではなく、国民が自分の足で立つための土壌を作るべきではないでしょうか。自国の資源を活用し、先進国に依存しない持続可能な環境を築くことが、強いアフリカを実現する正しい道です。

アフリカ諸国の政府は、外国勢力が差し出す目先の利益や、自分たちの懐を肥やす誘惑を断ち切り、自国の内側にある力に目を向け、未来への投資を進める必要があります。アフリカが自立した未来を築けるかどうかは、その責任を担う指導者たちが、国民のために決断できるかどうかにかかっています。

歯科手術を行う米国とタンザニアの医療専門家

Credit: Pfc. Alva Gonzalez, Public domain, via Wikimedia Commons

(こちらは英語による執筆記事の日本語訳です。是非、オリジナル英語版もご覧ください。)


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