Credit: Kaizenify, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
アフリカ最大の経済を誇りながら深刻な貧困と不平等に苦しむ国。そこに暮らすことを、皆さん想像してみてください。これが今、ナイジェリアが直面している現実です。ナイジェリアのGDPは非常に好調に推移していますが、その富は国民に公平に分配されていないのです。
深刻化する階級格差
実際に、ナイジェリア国内の貧富の差は非常に大きく拡大しています。所得格差を測る指標「ジニ係数」によって、その格差がいかに広がっているかが分かります。ジニ係数は格差の程度を、0(完全な平等)から100(完全な不平等)までのスケールで測定します。スウェーデンやノルウェーのように比較的公平な富の分配で知られる国は、「世界銀行調査によるジニ係数」で約25とされています。アフリカ諸国の中でも裕福な南アフリカの係数は60を超えています。ナイジェリアの係数は35.1で、数値的に最低ではないものの、先進国にはほど遠い状況です。これは単なる数値の話ではなく、何百万もの人々の苦しみが現実にそこに存在するのです。ナイジェリアの富豪が、毎日100万ドルを使っても42年もかかるほどの資産を持っている一方で、1億1200万人以上(63%)のナイジェリア人が極度の貧困に苦しんでいるという現実です(国家統計局のデータより)。
ジェンダーによる経済格差
そして、この問題をさらに深刻化させるのがジェンダー間格差です。各国の政界、経済界などのリーダーが一堂に会し社会・経済問題について議論する「世界経済フォーラム」によると、同じ役職や職務の比較でも、女性の賃金は男性より世界全体で約37%も低いとのこと。その背景には「職業分離」や「社会的規範」が存在します。「職業分離」とは特定の職業や職種に特定の性別、年齢、人種などが集中する状況。そして「社会的規範」とは「一般的な社会通念」を指し、性別による役割分担や社会の期待などが含まれます。特に地方社会においては女性の居場所は家庭内にあり、料理、掃除などの家事や、子供を産み育てることに女性の主な存在価値があるという考え方がまだ根強く残っています。少女たちは教育の権利を奪われ、幼い年齢で結婚させられることも多く、また路上での物売りとして厳しい状況に追いやられることも少なくありません。
読み書きを学ぶ代わりに労働に駆り出され、若くして家族を養う責任を背負わされる少女たち。多くは小学校を卒業する前に強制的に結婚させられ、その後の人生において「教育は無駄」とされ、学ぶことから完全に隔離されます。「教育を受けた女性は傲慢で扱いにくい」という妄想が、彼女たちを陰に追いやり、彼女たちのポテンシャルは封じ込められ、女性たちの声はかき消されてしまっているのです。
ナイジェリアでジェンダーおよび所得格差を解消するためには、リーダーシップの職務に対するジェンダークォータ(性別による不平等を是正し、意思決定の場やリーダーシップの役割に多様な視点を取り入れるために、一定割合のポジションを女性やその他のジェンダーに割り当てる制度のこと)や、経験豊富なリーダーとのメンタープログラムの導入が必要です。そして社会に影響力を持つ教育やメディアを通じて、女性に対する社会の考え方を変えるのも効果的な方法です。更に、包括的なガバナンスや女性の教育と起業支援に焦点を当てた政策も重要です。こういった様々なアプローチを推し進めることで、女性に新たな機会を提供し、彼女たちをしっかりと評価し支援する社会が構築されるでしょう。

女性のエンパワーメントと機会創出
しかし、ナイジェリアにおける所得とジェンダー格差を是正するためには、単に政策からのアプローチでは十分とは言えません。肝心なのは、女性を支援する環境そのものを整えることです。例えば、Access BankやDangote Groupのような企業では、包括的な職場環境の促進や、リーダーシップ育成プログラムを提供するなど、従来に比べ飛躍的な進歩と改善を遂げています。また、チャイルドケアをはじめとする地域支援により、女性がプライベートや家庭生活を犠牲にすることなく、自身のキャリアを追求することが可能となります。
この問題に取り組むことは国が持つポテンシャルを最大限に引き出すことを意味し、そのためには政府、民間セクター、市民社会が一体となって推し進めることが重要です。包括的な解決策を導き出すことができれば、ナイジェリアは、性別に関係なくすべての国民が活躍し繁栄する未来へと、歩みを進めることができるでしょう。
(こちらは英語による執筆記事の日本語訳です。是非、オリジナル英語版もご覧ください。)

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