家庭から生まれる男性アライ|女性の尊重が全ての始まり

周囲の人を支えるアライ(支援者)として、社会に良い変化をもたらす。その原動力となるのが、DEIマインドセットです。人は誰しも他者とのつながりの中で生きています。世界中どの社会においても、人との関係を築き、支え合うことは、心身の健康と幸福の礎であり続けてきました。かつてのコミュニティは、互いが近くに暮らし、似た価値観を持つ人々の間で完結する小さな世界にありました。そのため、友人や隣人を助けることで生まれるポジティブな変化やコミュニティ全体への良い影響を、すぐに実感することができました。しかし現代では、人々は世界中を行き来し、インターネットが距離の概念を大きく変えることとなりました。私たちは地理的制約を超え、考え方や信念、それぞれの経験を共有し、世界中の人々とつながることができる時代を生きています。

オープンな姿勢で世界が広がる

DEIマインドセットとは、初めて接する人々や新しい価値観、考え方に対してオープンでいる姿勢のこと。それは私たち一人ひとりにとっても、家庭や職場にとっても大きなプラスになります。私生活では人間関係を豊かにし、職場では、生産性やイノベーションに良い効果を生み出します。ただし、DEIの考え方を尊重し、アライとして行動し続けることは決して簡単ではありません。

多様化が進む現代社会においても、慣れない視点や異なる考え方を受け入れる際には、不安や戸惑い、抵抗感が生じるものです。だからこそ、違いについて学び、理解し、受け入れるためのプロセスが欠かせません。その道のりを歩むとき、そっと寄り添ってくれる仲間の存在は心強いもの。そうした仲間が、私たちの視野を広げ、新しい気づきを与えてくれます。最近注目の集まる「アライ」とは、自らの社会的優位性や多数派といった地位を使い、マイノリティへの差別や不平等の是正に向けて自ら能動的に行動する人のことです。例えば男性が、組織内の女性の活躍を積極的に後押しし男女格差解消に向けて動くこと、異性愛者がLGBTQの人々の平等な権利を支持することなどがこれにあたります。

身近な支援から始まるアライシップ

髙松建設株式会社の大同氏は、アライシップの重要性を体現し実践する一人です。同氏は、事情により実親と暮らせない子どもを家庭に迎える里親でもあります。まだ里親制度が十分に浸透していない日本ですが、その道に進むきっかけは彼の妻でした。彼女は、児童養護施設の教員だった母親の影響や、自身の障害者支援の仕事を通じて、助けを必要とする子どもたちを常に身近に感じてきたといいます。

高松建設、大同康二氏が、オフィスのソファに座っている

大同氏

大同氏は、妻のキャリアと人生の目標を心から応援し支え続け、遂に7年前、里親になる夢を叶えました。彼は家事や育児にも積極的で、洗濯や掃除なども、楽しむ姿勢を忘れません。両親共働きでの子育てには様々な苦労があるものの、お互いの得手不得手を踏まえた分担により、家庭生活がスムーズに回っているといいます。

家庭内でアライシップを実践してきた彼ですが、「まだ学びの途中だから」と、職場での自分をアライと呼ぶことには慎重です。知らなかった差別や困難に関する事例に触れるたび、当事者の現状に胸を痛めるといいます。自らを「本物のアライ」だと言えるように、DEIへの理解を深め、行動していきたいと感じているそうです。

親と暮らせない日本の子どもの多くが児童養護施設で生活していることを示すグラフ

里親制度が浸透していない日本:実親と暮らせない子どもの約8割は児童養護施設へ Credit: Japan Children Support Association


男性中心の建設業界に理想のロールモデル

一方、彼の同僚は、大同氏を違う視点で捉えています。性別に関係なく誰に対してもフェアに接し、管理職として若手女性の意見も積極的に取り入れる。新しい視点を得たときは、「気づきを与えてくれてありがとう」と言葉にして感謝を伝える。こうした姿勢は、男性中心の建設業界では珍しく、彼のアライとしての考え方が普段の振る舞いの中に明確に表れていると、その同僚は話しています。

誰もが取り残されない公平な社会を実現するには、マイノリティだけではなく、すべての人の力が必要です。DEIマインドセットを育てる過程で、完璧さを目指す必要はありません。すべてを理解し、世界を変える必要もありません。大切なのは、常に学び続けること。周りの人がより力を発揮できる環境をつくろうとする姿勢。その積み重ねが、誰かの未来を支えるアライへの道につながっていきます。

養子の娘と手をつなぎ、両親が海岸沿いの遊歩道を歩いている様子

(こちらは英語による執筆記事の日本語訳です。是非、オリジナル英語版もご覧ください。)


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